独立してフリーランスとして働き始めたけれど、正直ツライ…。
自由な、自分らしい働き方ができると思っていたけど納期に追われてばかり。
不安定な立場だから将来の不安が徐々に大きくなってきた。
フリーランスとして働いていると、時にそういう考えで苦しくなってしまったり、周りのフリーランス仲間からそんな話を聞いたりすることはありませんか?
そのたびに「本当にこの働き方でいいのかな?」ってふと考えてしまいますよね。
近頃徐々に耳にすることが増えた「ウェルビーイング」という概念を知ることで、気持ちが少し楽になるかもしれない
—今回はそんなお話です。
ウェルビーイングとは?
「幸せ」とは違う「あり方」
ウェルビーイングとは何でしょうか。
“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。“
日本WHO協会仮訳
瞬間的な幸せを表す英語「Happiness」とは異なり、「持続的な」幸せを意味しています。

すべてが満たされた状態なんてあるのだろうか…
ウェルビーイング = イキイキ
人それぞれに定義は違うと思いますがウェルビーイングは「イキイキしている」状態のこと、と考えるとしっくりくる気がします。
フリーランサーである私もまさに



もっともっと自分で裁量を持って仕事ができたら楽しいだろうなぁ



上司のマイクロマネジメントがツラすぎる



Webデザインだし時間も場所も縛られずに仕事ができるはず!
というのがコロナ以前はフリーランスの大きな魅力だと思っていましたし、今も思っています。
自分らしく働くために独立したのに
そんな、自分らしく働きたい=「ウェルビーイングでいたい」という発想での独立でしたが、独立してみて思うことは結構ネガティブなことでした。
先の見えない不安感
当然ながら自分で仕事をとってくる必要があり、先の見えない生活になりました。
継続案件があるときは良いです。しかし、その仕事を手に入れるためのコミュ力や人間関係が築けていないと仕事の獲得の面で不安は消えません。
頑張りすぎる
当然ながら納期に間に合わせなくてはいけない。しかし、こういうタイミングに限って納期が複数重なって…寝ずにやれば2日でなんとか…なんて事もありますよね。
むしろ休むペースを自分で決めなければ働きすぎてしまうことも。でももっとやらなきゃと焦りで葛藤しているのはフリーランスあるあるかもしれません。
容赦のない仕事でのジャッジ
フリーランス?あなたの代わりはたくさんいるのでできないならいいよ。
そんな対応の企業さんだって存在します。求められたものを提供できなければ容赦なくきられる。
まさに能力・実力で判断されてしまう立場がフリーランスです。
フリーランサーがウェルビーイングでいるために
では、フリーランスで働きながらウェルビーイングを実践するためにはどうすればよいのでしょうか。
存在自体を受け入れられる関係性づくり
ひとつめは「仕事の実績」以上に「私自身」が受け入れてもらえる関係性を築くこと。
これが苦手だから一人で仕事しようと思っていた以前(会社員時代)の私は、
本当にフリーランスをわかっていなかったなと思います。
しかし、幸い今はインターネット社会。どんなエリアの人とでもつながる方法はあります。
SNSでもコミュニティでもサロンでもたくさん顔を出して覚えてもらうことが大切!と考えて楽しみながら参加しています。
ヒューマンドゥーイングはつらいよ
ふたつめは「ヒューマンドゥーイング」にならないこと。
あなたはなにができますか?次の目標は?去年からどれだけ成長できましたか?
現代ではよく聞く、ありふれた問いかけです。しかし、本当はこう思う人がたくさんいますよね?



疲れる……
自分や誰かの期待に答えることが当たり前となり、「何ができるか」で価値をはかる。
価値ある自分でいるために常に成長のために学び続ける。
でも、成長って疲れます。常にインプットで吸収して能力を伸ばしてアウトプットし続ける生き方ってできる人ばかりではないはず。
そこでヒューマンドゥーイングではないフリーランスの働き方を考えてみます。
今の能力で喜んで貰える仕事をすること?それも良いですが、ヒントは「変化」にあると私は考えます。
上に伸びる成長ではなく、ゆらめく炎や波打ち際のような変化。あり方は変わらないままで、みせ方や表現方法、ゴールまでの道のりを変えてみる。
俳優さんが役によってメイクや演じ方を変えるようなイメージです。
変化して魅せ方を変えることは自分が自分に飽きない上でとても有効です。
因果を超えて
3つ目は「因果にこだわらない」こと。ビジネスにおいて原因と結果の検証はよく行われます。
しかし、周囲のフリーランサーを見ていると「大変な営業活動をこなして仕事がある」「苦労をしたから今の栄光がある」人ばかりではないという印象なんです。
もちろん自分が後で後悔しないための努力は最大限すべきです。しかし「運」「縁」で成り立っているものって世の中にはたくさんありますよね。
親ガチャ、実家が太い、なんて自分では選ぶことができない環境に恵まれた人のことを指す言葉も一時期流行りました。



うーん、「後悔しない努力」ですら自己満足のような気もしてきた
日本文化のあり方からウェルビーイングを習う
あるがままで良しとする日本人
日本に伝承する昔話をみるに、どうやら日本人は「あるがまま」であることを良しとする思想があるようです。
一般的に西洋文化的な価値観だと「上昇するほどよい」思想です。これはハリウッド映画でヒーローが活躍する話がひっきりなしに作らてきたことからも納得できます。
一方で日本に伝わる話って「プラスに行きすぎない」思想が根付いていると言えます。これほど” おじいさん・おばあさん”が主役になる物語は日本くらいでしょう。無名の年寄りが慎ましく過ごしてにこにこしている、さらに状態が良くない中でもその状況を受け入れている。
「わびさび」や「あるがまま」の状態は、特に説明されなくても日本で生まれ育った人なら肌感で理解できるものだと思います。逆に「パワー全開で世界を救う」「最悪な状況を上昇志向で打破しよう!」というストーリーは日本の昔話ではあまりメジャーではありません。
趣味の中国史劇ドラマを見ていると、これでもかと謙遜するシーンがありますし、漢詩で世の中を憂いたりする話も頻繁に出てくるので、個人的には日本だけでなくアジア圏は全体的にこの感覚がうっすら漂っているように感じます。
冒頭で紹介した本では「ウェルビーイングはむかしの日本人のあり方から学ぼう」と提唱しています。
でもそんなことをわざわざ言わなくても、現代の20代以下の若い人たちはすでにそのあり方の中で生活している気がします。
一方、私達40代以上は、勝つこと・競争することを常に強いられてきた世代です。頭でわかっていても「人より手にしたものが多いことが豊か」という考えからなかなか抜け出せないのが正直なところです。
「自分」から離れることで「いる」を感じよう
そしてもう一つ、自分から離れることがウェルビーイングでいるために、いえ生きていく上で大切だと実感しています。
コロナ禍でずっと家にいる生活になってもう2年。家で誰とも話さずにいると、ずっと頭の中で自分と対話してしまうんですよね。これって、どんどん自分のネガティブな思考回路にはまっていってしまって、けっこう危険だと感じています。
そんな時、例えばペットとか、推し活とかなんでもいいから外に意識を連れ出すことが自分を救うんじゃないかと感じます。自分よりも大切なものに心を注ぐことは「ライトな宗教」だと書籍では書いていますが、自分を外へ連れ出して救われることが必要です。
私は個人的には推し活より旅行が意識を外に向けるのに合っているタイプです。移動することで景色が変わること、知らない街にワクワクすること、いつも見ないものを見ること。全身で「知らない」を受け止める活動をしている時、一番自分自身から離れられているように思います。
まとめ
「むかしむかし あるところにウェルビーイングがありました」を読了したので、今回はこの本を元にフリーランスとしてのあり方を探ってみました。
そんなに肩肘張らなくても、良いときも悪いときも受け流して淡々とあればいい。
フリーランスになりたてであれこれ考えが多方に散らばりがちの日々の中で、気持ちが軽くなる一冊でした。
今ならkindle unlimitedで読めます。ウェルビーイングを考える切っ掛けになる本でした。